痕跡を越えて:ローレンス・ジョーダンによるアニメーション・ドキュメント
1960年代初頭から、ローレンス・ジョーダンはストップモーションを用いて、ヴィクトリア朝時代の様々な版画を実験的なアニメーション映画へと変身させてきた。当時でさえ時代遅れとなっていたそのスタイルと技術によって、コラージュされたエフェメラによる緻密なタペストリーは、それらのヴィクトリア朝時代におけるコンテクストとその印刷工程を示す指標として機能し始める。しかし、ストップモーションによる操作によって、一見すると無関係なイメージの並置が、指標となるこれらの素材を現実離れしたものに変えてしまう。。これは、映画の草創期において観客が新たな技術を奇跡や驚き、魔法の産物として認識していたことを想起させるアプローチといえる。『Patricia Gives Birth to Dream by the Doorway』(1961年〜1964年)や『The Centennial Exposition』(1961年〜1964年)といったジョーダンのアニメーション作品は、アニメーションとドキュメンタリーの間だけでなく、指標性と幻想の間においても生産的な緊張状態を利用している。このような緊張状態をアニメーション作品に用いることで、歴史と文化が記憶・幻想・経験の断片的構築物であり、よって現在、今この瞬間にも改変、再読、再構成を招く可能性を示しているのだ。