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鏡を開いて明らかにする:パトリック・ボカノウスキのアニメーション映画における動く反射

本論文の主な目的は、自主映画作家パトリック・ボカノウスキの最も重要な作品と、彼がアニメーション映画を制作するさいに用いる方法論の分析を提供することである。光学的な歪みによってイメージを変貌させ、それによって自らの主観的なビジョンを映画やアニメーションで表現する戦略として、ボカノウスキの様々な反射面で映画を撮影する手法を取り上げる。彼が探求するのは、鏡や水銀のようなより不安定な反射面にあらわれる変わった反射や、彫刻されたレンズやガラスや水でおこる屈折を用いることだけでなく、視覚的反響として反射を創造する実践的な利用法である。この戦略の目的は主観的な経験を純粋に表現することであり、創造性を刺激し機械的なカメラの運動に束縛されない、まるで完全に自由に動く絵筆であるかのようにボカノウスキはカメラを用いる。したがってこの研究では、ボカノウスキの二つの短編映画La Plage(1992年)とAu bord du lac(1994年)を典型的な例として取り上げ、反射光学という言語のダイナミックな表現力の可能性について検討する。これらの作品に対する筆者の分析の目的は、ボカノウスキが鏡や水銀の波紋や水の動きにイメージを反射させることによって、そしてこれらの要素を組み合わせることによって、どのように形状と空間に質的な変形的な変化をもたらそうとしたかを論証することである。ボカノウスキが開発した方法は私たちを絶えず変化する詩的な宇宙へと導き、アニメーションの分野で新しい地平を切り開くことに成功している。

  • タイトル(英語)
Unveiling and Revealing the Mirror: Mobile Reverberations in Patrick Bokanowski’s Animated Films
  • 発表年
2019年
  • 著者
  • 掲載誌
Animation: An Interdisciplinary Journal
  • 掲載誌巻号
14(2)
  • 掲載誌ページ
83-101
  • 掲載誌ウェブページ
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1746847719856997
  • DOI
10.1177/1746847719856997
  • キーワード

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