ディズニー・スタイルのイスラム教を考える―エジプトのイスラム教アニメーションの勃興
1930年代には早くも、エジプトはアニメーション制作を確立した最初のアラブ国となった。この業界の80年の歴史におけるほとんどのプロダクションは、エジプト国民を対象としており、この地域のみで通用するメッセージを伝達したが、1990年代から国境を越えたイスラム教徒を対象とし、イスラム教を主題とした映画やシリーズが増えている。この論文では、エジプトにおけるイスラム教のアニメーションの発展と特質、およびアニメーションのイスラム化について考察する。ここでは、1990年代のエジプト政府の方針および国内で最も強力な宗教的権威であるアル=アズハルとの緊密な関係がこのようなプロダクションに導いた過程についても検証する。また予算、品質、および配信において今までで最も重要な作品であるQisas al-Qur’an(コーランからの物語)の詳細な調査を通じて、エジプトのイスラム教アニメーションの特質を紹介する。