インドのためにデザインする——政府によるアニメーション教育とアイデンティティの政治
本稿は、インドにある二つの国営デザイン学校——国立デザイン大学(NID)とインダストリアル・デザイン・センター(IDC)——におけるアニメーション教育を検討し、技術の伝達にとどまらぬ、社会的・職業的なアイデンティティの交渉に着目する。学校と学生と卒業生は象徴的な価値を表現するものであり、そこではインドという地域の特性に加え、独立後のインドの発展を導く道具である「適切なデザイン」の伝統に根を張った文化の連続性が問題となる。ここから明らかになるのは、国家的・地域的・階級的・ジェンダー的なアイデンティティをめぐる不穏な言説ばかりではない。創造的な独立と起業家精神こそが明らかになる。筆者はデザイン教育を実践の共同体の文脈に位置付けることで、教育者と学生がインドのアニメーションを囲い込む現在の産業状況に答えようとするのは明らかな政治的反映である点を論じる。彼らは市場が求める労働の標準化を拒否し、イデオロギーをもとにした職業ネットワークに便宜を図っている。