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抽象化されたウッディ――シェイマス・カルヘーンのカートゥーンにおけるフィルムの実験

アニメーターのシェイマス・カルヘーンは自伝のなかで、1940年代中盤を自身にとっての芸術的目覚めの時期であるとした。ロシアのフォルマリスト、セルゲイ・エイゼンシュテインやフセヴォロド・プドフキンといった映画理論家たちの著作を読んでいた時期である。その当時ワルター・ランツのスタジオで監督として働いていた彼は理論を実践へと移すことを決意し、ランツのカートゥーン作品において、承認の取れた絵コンテを用いつつ、そこに現代的なテクニックを適用する実験を始めたのである。ウッディ・ウッドペッカーのカートゥーンのような商業的プロジェクトでの制作を行なっていたカルヘインには、前衛的なことをやるための自由はほとんど残されていなかった。それゆえに、彼はヒットエンドラン的アプローチを採用することで、音楽的で映画的な実験を表に出すこととなる。本稿の議論が明らかにするのは、ウッディ・ウッドペッカーのカートゥーンはそのための適切な題材には見えないにもかかわらず、乱暴で道化的なウッドペッカーのキャラクターは、カルヘインが彼のモダニスト的悪戯を行なうための理想的な機会を提供し、シリーズ自体にも熱狂的な活力を注ぎ込むことになったということである。

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