横田正夫『アニメーションとライフサイクルの心理学』(臨川書店、2008)
アニメーションの作り手たちのテーマが心理学のライフサイクル論にしたがって展開することを、次いで繰り返し作られている「ゲゲゲの鬼太郎」にも同様なライフサイクル的なテーマの変化がみられることを述べている。
横田正夫『日韓アニメーションの心理分析: 出会い・交わり・閉じこもり』(臨川書店、2009)
日本のアニメーションには「分身」が好んで描かれることが多い。日本のアニメーションの心理的な特質が「閉じこもり」への傾向が見られることを示し、これに対し韓国のアニメでは「交わり」が強調されている。
横田正夫、Hu, Tze-yue G.『Japanese Animation: East Asian Perspective』(University Press of Mississippi、2013)
日本のアニメーションについてアジアの研究者が中心となって英語で発表している。中でも編者のひとりの横田は、川本喜八郎の「花折り」を中年期危機のテーマを示すものとして、臨床心理学的に論じている。
佐分利奇士乃『今日を生き延びるためにアニメーションが教えてくれること』(学芸みらい社、2018)
生態心理学の立場からアニメーションの成り立つメカニズムを解説したもので、アフォーダンス、肌理、包囲光、オプティカルフローなど、通常のアニメーションの解説書では取り上げられない概念で説明している。
横田正夫『大ヒットアニメで語る心理学 「感情の谷」から解き明かす日本アニメの特質』(新曜社、2017)
アニメの主人公たちは、激情の末に無意識の世界に落ち込み、そこでその無意識世界に外部から入り込んできた援助者に出会うことによって、覚醒し、より大きな人格的な発達を示すという「感情の谷」理論を展開した。
西村則昭『アニメと思春期のこころ』(創元社、2004)
スクールカウンセラーとしてこころの問題に取り組む筆者が、カウンセリングの場で出会ってきた思春期の子どもたちのこころにアニメの深層を理解することでより近づきやすくなることを述べている。
岩宮恵子『好きなのにはワケがある:宮崎アニメと思春期のこころ』(筑摩書房、2013)
臨床心理士として筆者が、臨床現場で出会うアニメ好きのクライエントが話題にすることの多い宮崎駿監督作品を分析することで、思春期のこころに寄り添って、その特質を明らかにしようとしている。
小山昌宏・須川亜紀子『アニメ研究入門【応用編】:アニメを究める11のコツ』(現代書館、2018)
異なる基本的な10のテーマからなる論文で構成されている。その第1章が「映像心理論(アニメサイコロジー)」で、東映動画の初期作品を手掛かりに、アニメの世界を「衣食住」の心理学的な展開として解説している。
横田正夫『メディアから読み解く臨床心理学:漫画・アニメを愛し、健康なこころを育む』(サイエンス社、2016)
アイデンティティ、閉じこもり、精神病状態からの回復、自傷、生きにくさといった13のテーマに対応して漫画とアニメーション作品を取り上げ、ライフサイクルの中で出会うこころの問題について解説している。
アニメーションのキャラクターの顔の特徴の分析、アニメーションの基礎的検討として色彩と動きの検討、さらには作品の心理分析と作り手のライフサイクル的なテーマの変遷の心理学的検討を行う。