アニメージュ編集部編『TVアニメ25年史』(徳間書店、1988年)
姉妹本「劇場アニメ70年史」との2冊で、定番「日本アニメーション映画史」(1977年)以後10年を補足できる。作品辞典の体裁なので現在も利用価値が高い。最近刊行の「日本TVアニメーション大全」(2014年)はその逆で、使いにくい。
山本暎一『虫プロ興亡記―安仁明太の青春』(新潮社、1989年)
ほぼ一貫して虫プロに在籍した著者による記録。小説形式になっているが、著者によると事実は正確に描写しているという。これと、「手塚治虫劇場」(手塚プロダクション編、1991年)との2冊で虫プロ史は押えられる。
東映動画編『魔女っ子大全集〈東映動画篇〉』(バンダイ、1993年)
「魔法使いサリー」から「セーラームーン」まで、日本のアニメを象徴するシリーズの一つ「魔法少女アニメ」を特集したムック。作品データを含め資料性が非常に高く、これを読まずして魔法少女アニメは語れない。
『B-CLUB(138号)』(バンダイ、1997年)
「OVA大研究」という特集が組まれた号。OVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)からは、特に90年代半ばにかけて多くの名作が生まれた。この特集は網羅的な作品年表を含む高い資料性で、OVA研究には必須。
富野由悠季『富野由悠季全仕事―1964-1999』(キネマ旬報社、1999年)
「機動戦士ガンダム」以後の富野由悠季の仕事は、そのまま日本のアニメ史につながる。富野の生い立ちから虫プロ入社、そして「∀ガンダム」までを問い直す、富野の長大な談話を読みこなしたい。
原口正宏、長尾けんじ、赤星政尚『タツノコプロインサイダーズ』(講談社、2002年)
「タイムボカン」シリーズなど、独自のテレビアニメを制作してきたタツノコプロの設立者・吉田竜夫から、企画、演出、デザイン、作画、美術などに関わった総勢40名へのインタビュー録。タツノコ研究の基本文献。
「草月アートセンターの記録」刊行委員会『輝け60年代 草月アートセンターの全記録』(フィルムアート社、2002)
意外な文献かもしれないが、近年の短編アニメーション界の動きをみると、その原点にある草月は押えておきたい。本書には当時の草月の活動が克明に記録され、「創作すること」の意味を今なお問い続けている。
草薙聰志『アメリカで日本のアニメは,どう見られてきたか?』(徳間書店、2003)
これも意外な文献かもしれないが、「アトム」から「ポケモン」まで、アメリカでアニメがどう受容され批判されてきたのかを客観的にまとめた本書を読むと、「アトム」以後のもう一つのアニメ史が見えてくる。
サンライズ企画室・樹想社『サンライズ全作品集成Ⅰ・Ⅱ』(サンライズ、2007年)
非売品の社史だが、1977年から2007年まで、サンライズの全作品を辞典形式でまとめた極めて利用価値の高い内容。アニメ制作会社の社史は複数あるが、アニメ史を牽引してきたサンライズの社史であり、決定版と言える。
アニメブームが最高潮に達した直後のファン向けの本。アニメを熟知する論者たちの筆致が当時の熱気を伝えている。ガイナックスの仕事や萌えキャラの登場など、その後のアニメ史の展開を考察する上でも重要な文献。