李穎超、菅谷充「『かわいいキャラクター』に対するマンガ作者と読者の視点の比較」(『日本感性工学会論文誌』、20(1)、日本感性工学会、2021、75-81)
マンガ作者は主に性格を重視し「かわいいキャラクター」を表現するが,一方マンガ読者は顔を「かわいいキャラクター」の判断材材として重視するという,キャラクターに対する創作側と読者側の非対称性が示されている。
Liu,Kun, et al. "A study of facial features of American and Japanese cartoon characters", Symmetry, 11(5), MDPI, 2019, 664.
日米アニメキャラクター100人の顔を現実の顔と比較し,目・鼻・耳・顎・額が現実よりも誇張され,目の大きさはアメリカは現実の2倍,日本のキャラは3.4倍であるというキャラクター顔特有の傾向が示されている
Liu,Kun, et al. "Animated Character Style Investigation with Decision Tree Classification", Symmetry
日米アニメキャラクターの身体デザインを比較し,アメリカの男性キャラは体格がよく足が短いのに対し日本の男性キャラは足が長いこと,外見から主役か脇役かをアルゴリズムによって識別可能であると示されている
Liu,Kun, et al. "Facial Feature Study of Cartoon and Real People with the Aid of Artificial Intelligence", Sustainability, 14(20), MDPI, 2022, 13468.
日米アニメキャラクターは実際の顔よりも誇張してデザインされており,アメリカのキャラはその誇張のされ方は多様であるが,日本のキャラは誇張される箇所は細い鼻や大きい目等共通していることが示されている
高田治樹ら「オタクはどのような印象をもたれているのか?─オタクカテゴリと印象との相互関連性の検討─」(『目白大学心理学研究』16、目白大学、2020、1-13)
対象とするコンテンツによってオタクの印象はそれぞれ異なり,アニメオタクはコスプレイヤーと近い印象であり,またアニメオタクは特に「大人しい」「恋愛が苦手」「清潔でない」という特有のイメージを抱かれている
玉宮義之、加藤志織「瞳の輝きは魅力の源泉か?キャッチライトの大きさが目の印象に与える効果」(『白鴎大学教育学部論集』15(2)、白鴎大学教育学部、2021、51-69)
アニメーションキャラクターの目によく見られる,白で表現される光の「瞳の輝き」に注目し,適度な大きさの輝きを瞳に入れるとより若く,可愛く,よい印象に見せることが可能であると示唆している
Park,I.Jonathan, et al. "The differentiation between consumers of hentai pornography and human pornography", Sexologies, 31(3), Elsevier, 2022, 226-239.
人間のポルノとアニメキャラクターのポルノ(hentai)を区別し検討したところ,hentaiの消費者はそうでない人よりもアニメキャラクターに魅力を感じ,より誇張された刺激や理想を求めることが示唆された
Wu,Jun, et al. "A study of the influence of music on Audiences’ cognition of animation", Animation: An Interdisciplinary Journal, 16(3), Sage, 2021, 141-156
アニメーションの映像は同じであっても,異なるBGMであること は視聴者の理解度や感情に影響を与え,映像と音楽とのフィット感が重要である。BGMの違いによってどの年代の視聴者に好まれるかも異なってくる。
山岡重行『サブカルチャーの心理学 カウンターカルチャーから「オタク」「オタ」まで』(福村出版、2020)
特にアニメ・マンガオタクに関して,接触頻度とオタク自認という観点から分類している。単にアニメオタクと一括りにするのではなく,対象とのかかわりや態度はそれぞれであることが示されている。
山﨑尚彦『オタク・スペクトラム オタクの心理学的研究』(福村出版、2024)
オタクがアニメーションをはじめとするコンテンツをどのように消費するのか,どのような行動・態度の傾向にあるのか等,特に近年の事例についての考察が多く収録されている。
Liu,Shang, et al."Scale development and validation of anime tourism motivations", Current Issues in Tourism, 24(20), Taylor & Francis, 2021, 2939-2954
中国人を対象にアニメのいわゆる「聖地巡礼」の動機を分類し,その目的がアニメの追体験や情報収集,新奇性を求め,日常からの逃避,またコミュニケーションのためであることが示されている。
Ono,Akinori, et al. "Anime pilgrimage in Japan: Focusing social influences as determinants", Tourism Management, 76, Elsevier, 2020, 103935
日本人を対象にアニメの「聖地巡礼」の動機を分析し,アニメの特定の場面に似た場所を訪問し,同じ趣味のオタク同士のコミュニケーションに加えて,現地の人々との交流も目的であることが示されている。
藪田拓哉、佐々木淳「アニメの良さや強みに関する視聴者の主観的認識の把握:自由記述データの分析による探索的検討」(『アニメーション研究』24(1)、日本アニメーション学会、2024、31-36)
視聴者(大学生,大学院生)がアニメの良さをどのように認識しているのかをKJ法を用いて調査、分析した研究論文である。分析結果からアニメの良さ、強みの認識について7つの大テーマの存在が示されている。
藪田拓哉、佐々木淳「アニメ視聴による心理学的体験の生起に関わる要因の探索的検討」(『アニメーション研究』22(1)、日本アニメーション学会、2022、31-41)
アニメのどのような要因が心理的体験を引き起こすのかをKJ法を用いて調べている。調査の結果、作品要因として2つの大テーマ、視聴者要因として4つの大テーマ、阻害要因として3つの大テーマが見いだされている。
パントー、フランチェスコ『アニメ療法~心をケアするエンターテインメント』(光文社新書、2022)
心理学や精神分析学に関する知見をベースに、アニメや映画の心理療法への活用を、物語療法を基盤に検討した著作である。具体的なアプローチについても提案されている。
佐分利敏晴「アニメーションと生態心理学と『思想』」(『生態心理学研究』15(1)、日本生態心理学会、2023、87-95)
アニメーションにおける「思想」を生態心理学的観点から考察した論文である。アニメーションが表現しうる「思想」について、アニメーションの技法に基づく知覚特性、媒体特性から論じられている。
須藤信ら「映像のトランジション時における主観的な連続性に及ぼす影響の検討-映像文法における動きの一致手法と背景に着目して-」(『人間工学』59(4)、一般社団法人 日本人間工学会、2023、168-175)
映像のトランジション時の連続性(の印象)に与える動きの一致と背景の影響がCGアニメーションを用いた実験により検討され、背景情報によるストーリーの把握が連続性評価を高めることが示唆されている。
海老根直之、市川聖也「視聴映像ジャンルの違いがエネルギー消費量に及ぼす影響~安静時エネルギー消費量の厳密測定に向けた基礎研究~」(『日本生理人類学会誌』26(2)、日本生理人類学会、2021、27-34)
様々なジャンル(風景、ホラー、アニメーション)のビデオ視聴が座位でのエネルギー消費に及ぼす影響を調べた実験的研究。アニメ映像の視聴は安静時と同様に心拍数をより低く抑えられることが示されている。
マンガ・アニメのキャラクターの肌の色・髪色という外見と設定された性格に関連があることを,ファンサイトに登録されたデータベースを基に示している。キャラの外見から性格を推定する,推定させることが可能である。