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心理研究部会が推薦する19の文献

心理研究部会(野村康治)

李穎超、菅谷充「『かわいいキャラクター』に対するマンガ作者と読者の視点の比較」(『日本感性工学会論文誌』、20(1)、日本感性工学会、2021、75-81)

マンガ作者は主に性格を重視し「かわいいキャラクター」を表現するが,一方マンガ読者は顔を「かわいいキャラクター」の判断材材として重視するという,キャラクターに対する創作側と読者側の非対称性が示されている。

高田治樹ら「オタクはどのような印象をもたれているのか?─オタクカテゴリと印象との相互関連性の検討─」(『目白大学心理学研究』16、目白大学、2020、1-13)

対象とするコンテンツによってオタクの印象はそれぞれ異なり,アニメオタクはコスプレイヤーと近い印象であり,またアニメオタクは特に「大人しい」「恋愛が苦手」「清潔でない」という特有のイメージを抱かれている

玉宮義之、加藤志織「瞳の輝きは魅力の源泉か?キャッチライトの大きさが目の印象に与える効果」(『白鴎大学教育学部論集』15(2)、白鴎大学教育学部、2021、51-69)

アニメーションキャラクターの目によく見られる,白で表現される光の「瞳の輝き」に注目し,適度な大きさの輝きを瞳に入れるとより若く,可愛く,よい印象に見せることが可能であると示唆している

藪田拓哉、佐々木淳「アニメの良さや強みに関する視聴者の主観的認識の把握:自由記述データの分析による探索的検討」(『アニメーション研究』24(1)、日本アニメーション学会、2024、31-36)

視聴者(大学生,大学院生)がアニメの良さをどのように認識しているのかをKJ法を用いて調査、分析した研究論文である。分析結果からアニメの良さ、強みの認識について7つの大テーマの存在が示されている。

藪田拓哉、佐々木淳「アニメ視聴による心理学的体験の生起に関わる要因の探索的検討」(『アニメーション研究』22(1)、日本アニメーション学会、2022、31-41)

アニメのどのような要因が心理的体験を引き起こすのかをKJ法を用いて調べている。調査の結果、作品要因として2つの大テーマ、視聴者要因として4つの大テーマ、阻害要因として3つの大テーマが見いだされている。

須藤信ら「映像のトランジション時における主観的な連続性に及ぼす影響の検討-映像文法における動きの一致手法と背景に着目して-」(『人間工学』59(4)、一般社団法人 日本人間工学会、2023、168-175)

映像のトランジション時の連続性(の印象)に与える動きの一致と背景の影響がCGアニメーションを用いた実験により検討され、背景情報によるストーリーの把握が連続性評価を高めることが示唆されている。

海老根直之、市川聖也「視聴映像ジャンルの違いがエネルギー消費量に及ぼす影響~安静時エネルギー消費量の厳密測定に向けた基礎研究~」(『日本生理人類学会誌』26(2)、日本生理人類学会、2021、27-34)

様々なジャンル(風景、ホラー、アニメーション)のビデオ視聴が座位でのエネルギー消費に及ぼす影響を調べた実験的研究。アニメ映像の視聴は安静時と同様に心拍数をより低く抑えられることが示されている。

心理研究部会(野村康治)