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海外文献研究部会が推薦する20の文献

海外文献研究部会(中垣恒太郎、新井佑季)

Robinson, Chris

オタワ国際アニメーション映画祭のアーティスティック・ディレクターによる、現代のアニメーションを知る手掛かりとなる一冊。ドン・ハーツフェルト、スーザン・ピットから湯浅政明まで幅広い作家が扱われる。【英語】

Oczko, Patryk. "Between Art and Propaganda: The Rise of Polish Animation 1946-1956", Animation, 18(2), Sage, 2023, 167-187.

社会主義リアリズムの押し付けによって制作環境が変化した1940年代後半から、社会主義リアリズムが完全に否定された政治的雪解けの1956年までに焦点を合わせている。当時ポーランドで主流であったイデオロギーと、アニメーション映画の内容や形式との結びつきの本質を明らかにした論文。【英語】

Morton, Paul. "Boomerangs and Bombs: The Zagreb School of Animation and Yugoslavia's Third Way Experiment", Slavic Review, 79(1), Cambridge University Press, 2020, 15-138.

「ザグレブ派」の初期の発展を論じる文献。「ザグレブ派」のアプローチは、ユーゴスラビアの「第三の道」の重要な特徴である労働者の自主管理の発展と国際主義への関与に隣接しているとし、具体的にはボリス・コラールの『ブーメラン』の分析によって、「ザグレブ派」を歴史的文脈に位置づける。【英語】

Giessen, Rolf. Animation in Europe, CRC Press, 2022.

ヨーロッパ20カ国以上におけるアニメーションの歴史と現状を包括的に紹介する。貴重な資料や証言をはじめ、アーティストやプロデューサーへのインタビューを多数収録している。ヨーロッパ・アニメーションの主な出来事を網羅した年表も掲載された事典的文献。【英語】

Denis, Sébastian. Des mondes possibles : le service de la Recherche de la télévision française et le cinéma d'animation, INA (Institut National de l'Audiovisuel), 2022.

ルネ・ラルーやピョートル・カムラー等の著名なアニメーション作家が在籍していたラジオ・テレヴィジョン・フランセーズのリサーチ部門(1960年から1975年)に焦点を合わせた貴重な文献。残されたアーカイブと当時の関係者の証言から、その環境や労働条件を明らかにしている。【フランス語】

Roffat, Sébastian. Les gémeaux: L'histoire d'un studio d'animation mythique, Editions L'Harmattan, 2021.

ポール・グリモーとアンドレ・サリュによって1936年にフランスに設立された「レ・ジェモー」(1936年から1958年まで、ヨーロッパ最大のアニメーションスタジオ)に焦点を当てた詳細な研究。戦時中の撮影所の運営や、プロテスタントのコミュニティによる多大な援助といった財務情報も詳細に記される。【フランス語】

Roffat, Sébastian; Vimenet, Pascal(eds). Émile Raynaud: Nouveaux regards, Editions L'Harmattan, 2023.

エミール・レイノー(1844-1918)の実践と、彼の主な発明品である「光学劇場」(1889年)と、「パントマイム・ルミネーズ」(1892)について検証する。これまで未発表であった資料も積極的に掲載しながら、単なパイオニアというだけでないレイノーの新たな側面に焦点を合わせている。【フランス語】

Stratil, Stefan. Holger Lang, Animating Art: 130 Exhibitions of Contemporary Animated Installations, ASIFA Austria, 2024.

2007年から、ASIFAオーストリアによって、ビジュアル・アート(インスタレーション)とアニメーションの融合を紹介することを目的に、130の展覧会が開催されてきた。関連作家のインタビューや寄稿文が豊富に掲載されており、芸術メディアとしてのアニメーションを理解するのに役立つ。【英語】

角井誠「リアリズムから遠く離れて――アンドレ・バザンのアニメーション論」(『アンドレ・バザン研究』5、アンドレ・バザン研究会、2021、6-35)

アンドレ・バザンのアニメーションに対する批評を、フランスのアニメーション批評家アンドレ・マルタンとの関わりをも交えて展開する。そこに、実写映画に対する評価とは反対の方向にアニメーションの評価の重心を置く姿勢が見出される。【日本語】

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