Robinson, Chris
オタワ国際アニメーション映画祭のアーティスティック・ディレクターによる、現代のアニメーションを知る手掛かりとなる一冊。ドン・ハーツフェルト、スーザン・ピットから湯浅政明まで幅広い作家が扱われる。【英語】
Stewart, Jez. The Story of British Animation, British Film Institute, 2021.
イギリスの映画界におけるアニメーションの軌跡を知る文献。ライトニング・スケッチから21世紀のアニメーションまで全体的にイギリスのアニメーション史が抑えられていると同時に、随所に主要な作家や作品の詳細な分析がなされる。【英語】
Antauer, Margit, et al eds. 1972-2022 Fifty Years of World Festival of Animated Film: Animafest Zagreb, Hulahop, 2022.
ザグレブ国際アニメーション映画祭の50周年を記念して刊行された一冊。各開催の記録に加えて、映画祭の世界的位置づけへの考察がされる。作家を中心とした当時の貴重な証言も豊富に掲載されている。【英語】
Katsaridou, Maria. Sylvain Chomet's Distinctive Animation: From the Triplets of Belleville to the Illusionist, Bloomsbury, 2024.
フランスを代表するアニメーション映画監督、シルヴァン・ショメ(1963- )による作品と、その現代アニメーションへの貢献を詳細に分析した文献。彼の人生や影響だけでなく、作品の制作過程や歴史的、経済的背景にも触れた包括的な研究。【英語】
Leigh, Michele; Mjolsness, Lora. She Animates: Soviet Female Subjectivity in Russian Animation, Academic Studies Press, 2020.
ソビエト連邦とロシアの12人の女性アニメーション監督の作品に焦点を合わせた文献。ソビエトの女性主観性の出現と進化に照らして作品を検証し、女性問題とフェミニズムの両方に対する態度の変化に焦点を当てている。【英語】
Bobrowska, Olga. Chinese Animated Film and Ideology, 1940s-1970s: Fighting Puppets, CRC Press, 2022.
1940年代から1970年代にかけて中国本土で制作されたプロパガンダ・アニメーションを検証する文献。具体的に4つの重要な人形劇映画を分析し、アニメーションと毛沢東の教義がいかに絡み合っていったかを実証している。【英語】
Oczko, Patryk. "Between Art and Propaganda: The Rise of Polish Animation 1946-1956", Animation, 18(2), Sage, 2023, 167-187.
社会主義リアリズムの押し付けによって制作環境が変化した1940年代後半から、社会主義リアリズムが完全に否定された政治的雪解けの1956年までに焦点を合わせている。当時ポーランドで主流であったイデオロギーと、アニメーション映画の内容や形式との結びつきの本質を明らかにした論文。【英語】
Morton, Paul. "Boomerangs and Bombs: The Zagreb School of Animation and Yugoslavia's Third Way Experiment", Slavic Review, 79(1), Cambridge University Press, 2020, 15-138.
「ザグレブ派」の初期の発展を論じる文献。「ザグレブ派」のアプローチは、ユーゴスラビアの「第三の道」の重要な特徴である労働者の自主管理の発展と国際主義への関与に隣接しているとし、具体的にはボリス・コラールの『ブーメラン』の分析によって、「ザグレブ派」を歴史的文脈に位置づける。【英語】
Sitkiewicz, Paweł. "Animated Film and Socialist Realism in Poland, 1949-1955", Animation, 17(2), Sage, 2022, 209-225.
ポーランドの映画製作者たちが、どのように娯楽と教育、リアリズムとおとぎ話、芸術的価値とプロパガンダといった矛盾を調和させたかのを明らかにし、スターリン主義の政治的圧力下で、アニメーターたちが直面した問題について論じられる。【英語】
Giessen, Rolf. Animation in Europe, CRC Press, 2022.
ヨーロッパ20カ国以上におけるアニメーションの歴史と現状を包括的に紹介する。貴重な資料や証言をはじめ、アーティストやプロデューサーへのインタビューを多数収録している。ヨーロッパ・アニメーションの主な出来事を網羅した年表も掲載された事典的文献。【英語】
Denis, Sébastian. Des mondes possibles : le service de la Recherche de la télévision française et le cinéma d'animation, INA (Institut National de l'Audiovisuel), 2022.
ルネ・ラルーやピョートル・カムラー等の著名なアニメーション作家が在籍していたラジオ・テレヴィジョン・フランセーズのリサーチ部門(1960年から1975年)に焦点を合わせた貴重な文献。残されたアーカイブと当時の関係者の証言から、その環境や労働条件を明らかにしている。【フランス語】
Roffat, Sébastian. La bergère et le ramoneur de Paul Grimault et Jacques Prévert: Chronique d'un désastre annoncé, Editions L'Harmattan, 2020.
ポール・グリモーによる長編代表作『やぶにらみの暴君』と『王と鳥』(『やぶにらみの暴君』の改作)の2作品の製作過程を、詳細に検証した文献。【フランス語】
Roffat, Sébastian. Les gémeaux: L'histoire d'un studio d'animation mythique, Editions L'Harmattan, 2021.
ポール・グリモーとアンドレ・サリュによって1936年にフランスに設立された「レ・ジェモー」(1936年から1958年まで、ヨーロッパ最大のアニメーションスタジオ)に焦点を当てた詳細な研究。戦時中の撮影所の運営や、プロテスタントのコミュニティによる多大な援助といった財務情報も詳細に記される。【フランス語】
Roffat, Sébastian; Vimenet, Pascal(eds). Émile Raynaud: Nouveaux regards, Editions L'Harmattan, 2023.
エミール・レイノー(1844-1918)の実践と、彼の主な発明品である「光学劇場」(1889年)と、「パントマイム・ルミネーズ」(1892)について検証する。これまで未発表であった資料も積極的に掲載しながら、単なパイオニアというだけでないレイノーの新たな側面に焦点を合わせている。【フランス語】
Stratil, Stefan. Holger Lang, Animating Art: 130 Exhibitions of Contemporary Animated Installations, ASIFA Austria, 2024.
2007年から、ASIFAオーストリアによって、ビジュアル・アート(インスタレーション)とアニメーションの融合を紹介することを目的に、130の展覧会が開催されてきた。関連作家のインタビューや寄稿文が豊富に掲載されており、芸術メディアとしてのアニメーションを理解するのに役立つ。【英語】
角井誠「リアリズムから遠く離れて――アンドレ・バザンのアニメーション論」(『アンドレ・バザン研究』5、アンドレ・バザン研究会、2021、6-35)
アンドレ・バザンのアニメーションに対する批評を、フランスのアニメーション批評家アンドレ・マルタンとの関わりをも交えて展開する。そこに、実写映画に対する評価とは反対の方向にアニメーションの評価の重心を置く姿勢が見出される。【日本語】
Ehrlich, Nea. Animating Truth: Documentary and Visual Culture in the 21st Century, Edinburgh University Press, 2021.
近年注目が高まっている「アニメーション・ドキュメンタリー」をめぐる研究書。ドキュメンタリー/ノンフィクション、そしてデジタルメディアにおいてアニメーションの技法が多く用いられているメディア文化の動向を展望する。【英語】
Batkin, Jane. Childhood in Animation: Navigating a Secret World, Routledge, 2024.
アニメーションにおいて子どもがどのように「見られて」いるか、アニメーションを通して子ども時代を心理学・社会学・哲学的に探る。観客としての子ども、子ども向けアニメーション制作の力点、時代の変遷に伴う子ども像の変容にも目が向けられている。【英語】
Pellitteri, Marco(ed). The Palgrave Handbook of Music and Sound in Japanese Animation, Palgrave, 2024.
「サウンド・スタディーズ」の観点から日本アニメにおける音楽・音響・音声の発展を歴史的および理論的に辿る包括的な国際研究書。関係者のインタビュー、主要作曲家・声優ガイド、用語集、音源目録など資料性に富む。【英語】
1920年代から現在に至るまでのチェコのアニメーションについて論じた文献。主にイジー・トルンカ、ヘルミーナ・ティールロヴァー、ヤン・シュヴァンクマイエル、イジー・バルタの映画の分析から、帰納的にチェコ・アニメーションの特質の考察に至る。【英語】