吉村浩一『運動現象のタキソノミー』(ナカニシヤ出版、2006)
「心理学は“動き”をどう捉えてきたか」という副題をもつこの本は、心理学のさまざまな分野で 動きをどのように捉え・利用してきたかをまとめた書籍。アニメーションに限らず、動きの仕組みを広く学びたい人への参考書。
大山正・鷲見成正『見てわかる視覚心理学』(新曜社、2014)
色・形・空間・動きの知覚についての基礎知識と不思議な知覚現象を興味深く解説した解説書。特に動きの知覚については、紙媒体では理解しにくいさまざまな動き現象を、付録のDVD動画が理解を促してくれる。
佐々木正人『新版アフォーダンス』(岩波書店、2015)
動きの見え方に興味をもつ人なら、どこかで聞いたことのあるアフォーダンス。これがどのようなものかを理解するとともに、本書中の「不変項」の解説が、自分自身の動きと環境の動きを使い分ける表現のヒントとなる。
苧阪直行(編著)『感性のことばを研究する』(新曜社、1999)
擬音語や擬態語という感性のことばを発達・言語・認知心理学など広い視点で検討した編書。編著者担当の第3章では、歩く速さや雨の強さなどの表現で用いられる擬音語・擬態語の程度を比較する研究が紹介されている。
広瀬秀雄・矢牧健太郎『新版・遊びの百科全書3 映像遊戯』(河出書房新社、1987)
本書の「絵を動かし幻の像を得る」の章では、主に映画誕生以前の画像に動きを与えるさまざまな装置が、図を豊かに配して紹介されている。当時の装置(おもちゃも含む)の仕組みの概要を知るのに便利である
森政弘『ロボット考学と人間』(オーム社、2014)
ヒトとロボットの特性を多面的に理解するヒントとなる書物としても役立つが、この本の著者は「不気味の谷」の提案者である。「不気味の谷現象発見」の節では、今世紀に入ってからの反響について言及されている。
Tinwell, Angela. Uncanny Valley in Games & Animation. CRC Press, 2015.
ゲームとアニメーションにおける「不気味の谷」に関する、心理学的観点を取り入れた解説書。表情から受ける感情への影響や自己への脅威など静止画レベルでの検討が中心だが、動きに関する記述も含まれている。
細馬宏通『二つの「この世界の片隅に」』(青土社、2017)
片渕監督のこのアニメーションは、こうの史代のマンガが原作である。動かないマンガと動くアニメーションを同一作品で比較した本書は、アニメーションにおける動きの本質を考える視点やヒントを提供してくれる。
杉井ギサブロー『アニメと生命と放浪と』(ワニブックス、2012)
本書の企画・構成者である藤津亮太は、インタビューにより著者から興味深い話をうまく引き出している。刀の振り下ろしではなく振り上げるアクションに感情を表現したなど、動き表現の技法が随所に紹介されている。
日本心理学会(本書の監修)の肝いりで、数回にわたり重ねたシンポジウムの講演者が各章を担当した編書。全7章のうち4つの章がアニメーションの動きをテーマとしている。筆者も「アニメーションの動き」の章を担当した。