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アニメーションの歴史を知るための10の文献

渡辺泰

戦前は今村太平の『漫画映画論』が唯一のアニメーションの文献だったが、最近は読むべき文献も増えた。資料的よりも筆者が時に興味深く読んだ文献を推薦させてもらった。選んだ10冊のほかにもL.マルティンの『マウス・アンド・マジック(上下)』や森卓也の『定本アニメーションのギャグ世界』なども忘れられない文献だった。筆者と共著の『日本アニメーション映画史』を自薦するのはおこがましいが、アメリカ議会図書館が同書を購入してくれたのは誇り。

渡辺泰

1934年大阪市生まれ。世界のアニメーション史研究。専門分野はウォルト・ディズニー本人及び1920~’40年代のディズニー・アニメーション研究。日本アニメーション学会名誉会員。2014年6月、日本アニメーション学会創立記念第1回特別賞。2014年11月、第18回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門功労賞。2018年3月、第14回東京アニメアワードフェスティバル・アニメ功労部門に新設された「評論部門」で功労賞受賞。

関連リスト

当初「日本のアニメーション学を形成してきた10の文献」を考えたが、1980年代初めに至る黎明期に参照された文献と改めた。(1)1960年代前半迄の訳書を含む当時“古典的”位置付けのもの、(2)アニメーションプロパーが基本図書とし伝説的なF&FFなど同人の流れにあるもの、(3)実験映画・実験アニメーション、創作関連、(4)映画史・アニメーション史関連、(5)基盤の一つ映画学・映像学の文献の5グループ(+xは書名のみ)。

最近ではインターネットで戦前から戦中にかけてのアニメーションを見られるようになっており、アニメーション史を研究しやすい環境になりつつある。それでもまだ、1917年に国産アニメーションが始まり、1956年に東映動画が設立されるまでの数十年間に関しては、十分な研究がされているとは言い難い。このリストでは東映動画設立以前の時代に注目し、制作者の自伝や評伝、さらに作品を理解する手がかりとなる書籍を取り上げる。