三浦俊彦『エンドレスエイトの驚愕』(春秋社、2018)
『涼宮ハルヒの憂鬱』の「エンドレスエイト」篇をさまざまな観点で分析し、総括している。アニメーションを分析美学を通して論じる試みにも注目。(萱間)
岡本健『アニメ聖地巡礼の観光社会学』(法律文化社、2018)
「聖地巡礼」研究の草分け的存在である著者の集大成。2012年提出の博士論文を元にしているので情報や手法は古い部分もあるが、当該分野を知る上で避けては通れない一冊。(萱間)
Hori, Hikari, Promiscuous Media: Film and Visual Culture in Imperial Japan, Cornell University Press, 2018.
日本の戦時下におけるさまざまなメディア表象を論じている。第4章でプロパガンダアニメーションに言及。(萱間)
木村智哉「アニメーション映画『海の神兵』が描いたもの 戦時期国策映画の文脈から」、『戦争のある暮らし』(水声社、2008)
戦時下のアニメーションの集大成『桃太郎 海の神兵』(1945)の表象を同時代史料を元に分析。本作を論じる際に、必ずといっていいほど引用される必読論文。(萱間)
須川亜紀子・米村みゆき編著 『アニメーション文化55のキーワード』(ミネルヴァ書房、2019)
アニメーション文化を簡潔に紹介している。入門書として便利。(須川)
Steinberg, Marc. Platform Economy, University of Minnesota Press, 2019.
ネットや配信などのプラットフォームと、アニメ、マンガを主としたコンテンツ産業との関係、さらにイデオロギーの形成について論じている。(須川)
一般社団法人日本動画協会人材育成委員会『アニメーション用語事典』(立東舎、2019)
アニメーションの制作プロセスの中で使用されている様々な用語は、作品や会社によって独自のルールや用語が使われているものを、日本動画協会人材育成委員会で編纂されました、アニメ用語のスタンダードとも言える書籍である。(いがらし)
福原慶匡『アニメプロデューサーになろう!』(講談社、2018)
アニメーションプロデューサーと言う、製作側の内容を、筆者の実例を元に書かれた書籍。今までありそうでなかったと思われるためにセレクトさせて頂きました。(いがらし)
小澤和則『アニメーションのエフェクト作画テクニック』(玄光社、2019)
アニメーションの作画の中でも、特殊なエフェクト表現について解説された書籍で、資料として特に貴重と考える。(いがらし)
株式会社カラー『日本アニメ(ーター)見本市資料集 Vol.1 「西荻窪駅徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可 のいろいろ詰まった本」』(グラウンドワークス、2016)
庵野秀明率いるカラーと、ドワンゴが共同で企画した『日本アニメ(ーター)見本市』は日本のトップアニメーターにより制作された短編アニメーションで、その設定集は、業界にとっては貴重な資料である。(いがらし)
高木宏紀『TVPaint11解説書Ver.1.0』(株式会社ウィットスタジオ、2018)
業界にとってデジタル作画のスタンダードの一本になりつつあるTVPaintの日本語マニュアルとして希有なる解説書。特殊な形態の販売ではあるが、まだ日本には存在しない解説書であるためピックアップさせていただきました。(いがらし)
MOBSPROOF編集部『オリジナルビデオアニメ(OVA)80's: テープがヘッドに絡まる前に』(出版ワークス、2018)
今日まで網羅的に把握されてこなかったOVAという媒体に注目した稀有な試み。(小林)
高瀬司・編『アニメ制作者たちの方法 21世紀のアニメ表現論入門』(フィルムアート社、2019)
作家へのインタビュー、対談のみならず、作家・批評家双方の視点からの作品ガイドを並べ一冊にまとめるという企画は新機軸のもの。個々の作家についてもこれまであまり取り上げられてこなかった人選であり、資料性も高い。(小林)
小林七郎『アニメーション美術 -背景の基礎から応用まで』(復刊ドットコム復刻版、2019)
アニメーションの背景美術の基礎を築いた小林七郎の名著の復刻版。背景作画のハウツー本としてはもちろんのこと、背景制作への理解を深める上では必読の書。(小林)
小田部洋一・ 藤田健次『漫画映画漂流記 おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一』(講談社、2019)
アニメーター小田部羊一とその周辺人物へのインタビュー集。アニメ史における小田部の役割が鮮明になるとともに、特に氏の妻・奥山玲子と同時期に東映動画で活躍した宮崎朱美へのインタビューは貴重な証言。(小林)
故・高畑勲が『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968)や、『アルプスの少女ハイジ』(1974)に代表されるテレビシリーズなどジブリ以前の自作を解説。同名の単行本とはやや収録内容が異なるので注意。(萱間)