映像のトランジション時における主観的な連続性に及ぼす影響の検討-映像文法における動きの一致手法と背景に着目して-
本研究では,動きの一致手法と背景がトランジション時の連続性に与える影響について,主観評価分析を通して明らかにすることを目的とした.刺激として,ショット構成2水準(寄り→引き,引き→寄り),動きの一致2水準(一致,不一致),背景2水準(あり,なし)の3要因を採用した3DCG映像を作成した.実験では参加者に刺激を提示し,2つのショットの繋がりが連続的に見えたかどうかを5段階で評価させた.実験の結果,「寄り→引き」構成のトランジションでは,空間を把握しづらい背景条件において連続性評価が低くなることが示唆された.本結果から,背景情報によるストーリーの把握がトランジション時の主観的な連続性評価を高めるために重要である可能性がある.また,背景の有無に関わらず動きが一致する映像では,動きが一致しない映像と比較して,連続性評価を高める効果が認められた.この効果はショット構成が「引き→寄り」である場合に大きくなることが示唆された.
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映像のトランジション時の連続性(の印象)に与える動きの一致と背景の影響がCGアニメーションを用いた実験により検討され、背景情報によるストーリーの把握が連続性評価を高めることが示唆されている。