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アニメーションと生態心理学と「思想」

アニメーションに作者や監督が込めた意図を哲学や文学で論考すれば,「思想」と呼べるものとなろう.それは,意図の傾向から現れる制作者自身の性格や特質であり,表現の動機である.しかしこれらに関する論考は,描かれた情報を臨床心理学における「箱庭療法」のように「解釈」したものである.一方,生態心理学で扱うのはあくまでも環境に埋め込まれた情報である.表現媒体に人間が付けた痕跡を心理士が「解釈」したものを「思想」と呼ぶのならば,それは生態心理学の枠組みで扱われるものではない.ギブソンが述べるところの「知覚の二重性」で想定されているような2つの「一次情報」,スクリーンそのものと,映し出されている光学的配列以上の意味があるわけではない.ただし,アニメーション制作者がこの表現方法について「何でも表現することができる」という確信については,これを否定すべきではない.

  • タイトル(英語)
Animation, Ecological Psychology and “Thought”
  • 発表年
2023年
  • 著者
  • 掲載誌
生態心理学研究
  • 掲載誌巻号
15(1)
  • 掲載誌ページ
87-95
  • 掲載誌ウェブページ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jep/15/1/15_87/_article/-char/ja/
  • キーワード
この論文が含まれるリスト
心理研究部会(野村康治)

アニメーションにおける「思想」を生態心理学的観点から考察した論文である。アニメーションが表現しうる「思想」について、アニメーションの技法に基づく知覚特性、媒体特性から論じられている。

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