「ジャパニメーションの表情とその内面(3)」――キム・ジュニアン著『イメージの帝国:日本列島上のアニメーション』より――
本稿は、キム・ジュニアン著『イメージの帝国:日本列島上のアニメーション』の一部を日本語訳したものである。『アニメーション研究』(第15巻第1号A)および、(第15巻第2号)では、第二章3、4、5節を掲載した。前稿では、第二章「ジャパニメーションの表情とその内面」の第3節において、日本のアニメーションが伝統文化である歌舞伎および絵巻、また文学の領域では私小説からの影響を受けていることを論じた部分、第4節「「無国籍的」ということについて」ではジャパニメーションが無国籍的であると称される言説自体の考察、第5節「髪の色の無国籍論争」では、ジャパニメーションに見られる登場人物の多様な髪の色に着目し、無国籍性の問題をより具体的に問い直した箇所を訳出した。本稿では引き続き、同章の冒頭部分および、1節、2節を取り上げる。第1節「アニメーションにおいて漫画とは何か」では、コミックスとコミックスを原作にしたアニメーション作品の関係は、「話」のみならず言説の次元においても関連があることを明らかにし、アニメーションにおける漫画の役割について議論している。第2節「リミテッド・アニメーションの芸術と技術」では、ジャパニメーションにおけるテクノロジーの意味や価値について、芸術との歴史的関連の中で再検討する。その上で『鉄腕アトム』のアニメーション・テクニックが、「話」と同様に優れていたという結論を導き出している。