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ネコバスの終点の先:『蟲師』における幻想的なアクタント

筆者は、宮崎駿作品が気候変動対策を提唱する作品として受け入れられるにはいくつかの限界があるとしたうえで、人間以外の生物を描写する新たなアニメーションづくりの道が必要だと提言する。生態学的に見てより健全でポスト・ヒューマニズム寄りな未来への理想的かつ草分け的存在として、アニメ『蟲師』を挙げよう。『蟲師』は、写実的なタッチで描かれた20世紀末の日本を舞台に、植物でも動物でも、宮崎作品に登場する幻想的な生き物でもない単純な生命「蟲」が、小さな農村と共存する様が描かれる。筆者は、『蟲師』とそのかろうじてアニメ―ション化された名ばかりの生命を例に、、アニメーションが持つ幻想性と自然描写が人間中心主義の中心的教義に対抗することができると主張する。アニメーションにより、人間と人間以外の生物、主体と物体、そしてキャラクターと風景は象徴的なトーテムとして同質化し、これらはアニメーションというフィルターを通して視覚的に非現実的なものに概念化されると論じる。

  • タイトル(英語)
Past the End of the Catbus Line: Mushishi’s Apparitional Actants
  • 発表年
2019年
  • 著者
  • 掲載誌
Animation: An Interdisciplinary Journal
  • 掲載誌巻号
14(3)
  • 掲載誌ページ
178-190
  • 掲載誌ウェブページ
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1746847719875034
  • DOI
10.1177/1746847719875034

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