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アニメ化された魔法のような写実主義の世界:今敏の「千年女優」と「パプリカ」の考察

本論文は、日本のアニメ映画監督今敏の二作の映画「千年女優」(2001)「パプリカ」(2006)を魔法のような写実主義という視点から考察する。流れるように続くアートであるアニメーションには文学と同様に物語構造があるとし、芸術に応用される写実主義の魔法に対し、文学に応用される魔法のような写実主義として捉えることができると著者らは論じる。本論文は、ウェンディ・ファリスによる魔法のような写実主義の5つの特徴を分析に取り入れながら、それとは別に「千年女優」と「パプリカ」特有の概念も紹介している。著者らは、これらのアニメにおける魔法のような写実主義の仕掛けに向き合い、これら二作の映画は型にはまらない物語ややり方を使って形式としても自己意識としても独特なアジア的(日本的)な独自性を示していると論じる。今敏 の映画は写実主義に根ざしたものだが、「千年女優」では願望と切望を表現する魔法のようなものを、そして「パプリカ」では無意識の探査を表現する魔法のようなものを探っている。

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