裁判のアニメーション
この論文はまず、コータ・エザワのビデオ・インスタレーション『シンプソン評決The Simpson Verdict』を、コンテンポラリー・アートの地平において高まりつつあるアニメーションへの関心という広い文脈において考察する。まず、芸術家によるアニメーションの急増における3つの傾向——映画史の重要な瞬間をアニメーション化する作品、「リアリティ」をアニメーション化する作品、カートゥーンやテレビ、ビデオゲームなどポピュラー・メディアを素材として使う作品——を探りながら、その後、既に露出が過度となっている実写のフッテージを描き直すエザワの作品と、実写映像が存在しない(しえない)場合に映像的な補足としてアニメーションを用いるドキュメンタリー作品との違いについて考える。