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アブ・アイワークスの(マルチ)プレーン・シネマ

アニメーションの先駆者アブ・アイワークスは、初期ディズニーの成功における裏側の推進力として頻繁に賞賛されてきたが、彼の自主作品はほとんど注目を浴びたことがない。彼のカートゥーン作品における以下の二つの主な特徴を考えると、アニメーション史からのそのちょっとした見落としは、興味深いことである――第一に、自由自在に変化する効果を含んだギャグの強調で、アヴァンギャルド映画制作に頻繁に結び付けられる特徴である。第二に、アメリカ・アニメーションにおけるリアリズム美学の中核をなすことになる装置、つまりマルチプレーン・カメラの先駆的な業績である。本稿は、1930年代に変わりつつあったアメリカ・アニメーションの美学という見地から彼の業績を位置づけるために、以上の特徴を調査する。そのことが示唆するのは、同時期において、実写映画の古典的なナラティブ様式と関わりながら生まれつつあった新たなリアリズムとアヴァンギャルドとのあいだの大きな葛藤の兆候としてアイワークスの作品を見ることができるということであり、彼の作品の「失敗」とでもいえるものにこそ、両者のあいだの交渉の不可能性が読み取れるのではないかということだ。

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