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少女向けアニメを知るための9の文献

須川亜紀子

少女(子ども)向けアニメと少女(子ども)視聴者による文化実践に関する研究書をリストしました。

須川亜紀子(すがわ・あきこ)
横浜国立大学都市イノベーション研究院/教育人間科学部教授

ウォーリック大学大学院映画テレビ学部博士課程修了。PhD(人文学博士)。横浜国立大学都市イノベーション研究院/教育人間科学部准教授。専門は、文化研究、オーディエンス研究、ジェンダー論。アニメにおける少女表象や、2.5次元文化(コスプレ、アニメ・マンガベースのミュージカル、コンテンツツーリズムなど)という虚構と現実の間を漂う文化実践を、ジェンダーの視点から研究している。単著に『少女と魔法―ガールヒーローはいかに受容されたのか』(NTT出版、2013年)、編著書に『アニメ研究入門―アニメを究める9つのツボ』(現代書館、2013年)、共著にJapanese Animation: East Asian Perspectives (University Press of Mississippi, 2013)、『コンテンツツーリズム研究』(福村出版、2015年)、『女性MANGA研究』(青弓社、2015年)、『このアニメ映画はおもしろい』(青弓社、2015年)等。論文 “Rekijo, pilgrimage and ‘pop-spiritualism’: pop-culture-induced heritage tourism of/for young women” Japan Forum 27(1)(2015)などがある。

関連リスト

これは、日本におけるファン世界に関する議論に貢献する10冊の英語版書籍のリストである。このリストには研究論文や編纂された論文集も含まれる。そのうちほとんどは、人物について、また人物とメディアや資料とのかかわり、または日本でのファン世界の社会的側面に焦点を当てている。そのうち何冊かは日本を飛び越え、世界の中の日本のメディアと資料に関わるファンの行動を研究している。将来的には、これらの文献は、ファン世界に関する日本語版書籍および研究分野としてのファン研究とのより明示的で持続的な対話をもたらし、言語、学問、分野などの境界を越える可能性がある。

日本のアニメーション産業は複雑で相互に入り組んだシステム・枠組み・ネットワーク・プロセスによる多面的でユニークなシステムである。アニメが世界各地で起こした社会文化的な影響については多くのことが書かれているし、それぞれの作品の主題分析も多く扱われているが、実際のところ、表面的な部分を超えた諸要素をより適切に理解するためには、さらなる議論が必要とされる多くの側面がいまだに残されている。このリストは、アニメ産業の内部の仕組みや特質について光を当て、より完全なイメージを作り上げるための助けになるであろう情報源である。

推薦文献リストは、研究・教育委員会が信頼の置ける研究者・専門家を選出し、それらの方々に執筆いただいたものである。ただ、そこでは挙げられていないにもかかわらず、アニメーション研究において重要な文献も存在する。このリストは、そのような文献をフォローアップする目的で研究・教育委員会のメンバーが作成を行った。(作成者:萱間隆、須川亜紀子、中垣恒太郎)