イアン・コンドリー著『アニメの魂:アニメの魂: 協働する創造の現場』、2014年、エヌティティ出版
日本のアニメーションの成功、そしてそれを取り巻く社会的活動やエネルギーに関するイアン・コンドリー(Ian Condry)の理論の一部として、ファンについての新たな解釈を提供する。特に興味深いのは、海外におけるファンの変容および日本の「萌え」現象に関する章である。
アン・アリスン『菊とポケモン―グローバル化する日本の文化力』、新潮社、2010年
アン・アリスン(Anne Alison)は、この分野での最も野心的な研究の1つであるこの本のなかで、日本のメディアおよびおもちゃの位置付けをグローバルなレベルで探ろうと試みている。厳密にいえばファンに焦点を当てているわけではないが、物質的および精神的な関係への洞察を多く含んでいる。特筆すべき貢献としては、「millennial monsters」、「techno-animism」、「techno-intimacy」の章が挙げられる。
宮台真司監修、辻泉、岡部大介、伊藤瑞子編『オタク的想像力のリミット―“歴史・空間・交流”から問う』、筑摩書房、2014年
「オタク」の項目で集められた様々な分野およびコンテキストから集めた価値のある著作集である。アメリカにおける初期のアニメファンに関するローレンス・エン(Lawrence Eng)の素晴らしい章や、東浩紀から森川嘉一郎まで日本の学者の多数の翻訳も収められている。
Frenchy Lunning, ed. Mechademia 5: Fanthropologies, University Of Minnesota Press, 2010
Mechademia シリーズは、マンガ、アニメ、そして関連媒体や資料に関する最も重要な研究である。毎年発行され、ファン研究ではなくメディア理論およびファンのアプローチに焦点を当てている。この書籍には特に、岩渕功一による素晴らしい章が含まれている。
Sharon Kinsella, Adult Manga, Routledge, 2000
英語での漫画についての初期の学術論文である。ファン研究では、「オタクパニック」について特に重要な章があり、アマチュア漫画、女性文化および政治文化のコンテキストに位置付けされている。いまだに幅広く引用されている。
Susan J. Napier, From Impressionism to Anime, Palgrave Macmillan, 2007
日本のアニメーションのテーマを紹介する幅広い研究である「Anime」(2001年)の著者として知られているスーザン・ネイピア(Susan Napier)は、日本のファン、日本人のファン、および「ファン カルトとしての日本」に焦点を当てている。ジャポニズムの歴史的議論も有益だが、ハイライトは今日のファン大会についての章である。
南田勝也、辻泉著『文化社会学の視座―のめりこむメディア文化とそこにある日常の文化』、ミネルヴァ書房、2008年。
日本の大衆文化に関する有用な評論のコレクション。社会学的アプローチおよび日常に対する興味を採り入れ、ファン研究との対話をより受け入れやすくしている。木島由晶による章では、「萌え」について考える有益な開始点を提供している。
Sandra Annett, Anime Fan Communities, Palgrave Macmillan, 2014
この本は基本的に歴史を取り扱っており、戦前の日本におけるベティ・ブープの影響など、魅力的な詳しい情報が盛りだくさんであるが、この本の長所は、初期の日本のアニメーションの国を越えた特質を確立し、同時代のファンコミュニティに関する活発な議論にまでつなげていることである。
Joseph Tobin, ed. Pikachu's Global Adventure, Duke University Press, 2004
日本のメディアミックスのグローバル化で最も知られている例は、間違いなくポケモンであり、これは、この現象を詳細に吟味する決定的な本である。「Places and Practices」および「Pokemon Goes to School」のセクションは、人間としての経験の詳細に富み、ファン研究に議論を持ち込む。
これは、ファンに焦点を当てた最初の英語編集版である。本来の「ファン研究」ではないが、ウィリアム・ケリー(William Kelly)による前書きでは、素晴らしい概要およびテーマへのアプローチが提供される。この本のハイライトは、アマチュア漫画の女性ファンに関するマット・ソーン(Matt Thorn)による章である。