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『アニメ・マシーン』におけるキャラクター身体論と、その非オタク的活用方法

本稿は、2009年に出版された『アニメ・マシーン』(トーマス・ラマール)を対象とし、それが提示したキャラクター身体論を再考するものである。本書内の多くの議論は、オタク論に基づいているが、とりわけ、本書のキャラクター身体論にはそうした議論が強力に集約されている。しかしその身体論には、他の魅力的な幾つもの議論も集合している。それ故その身体論は、オタク的作品分析に留まらずに進展していく可能性を、持っているはずである。その可能性を実現させる方法として、本稿は “ 時間イメージ(ジル・ドゥルーズ『シネマ』より)” という概念に着目する。『アニメ・マシーン』は第2部で、この概念をオタク性と共に、キャラクター身体と一致させている。そして第3部の考察は、極度にオタク論の影響を受 けながら進展していく。逆に本稿は、時間イメージが本書に及ぼす効果を、重要なものとして価値づけることで、本書のキャラクター身体論を解釈し直す。この再考を通じて本稿は、時間イメージと対応するキャラクター身体論が、どのようにオタク論と異なるものであり得るのかを示し、また、その身体論をオタク的でないアニメ作品の論に活かすにはどうしたらよいのかを、示したい。

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