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「動く」幻灯、「動かす」幻灯――「運動」の場としての幻灯会――

日本語の「幻灯」は静止画像をスクリーンに拡大映写する視覚的メディアを意味する。幻灯はまず19世紀の日本で反映した後、昭和期に復活し、戦時期から1960年代まで利用された。とりわけ1950年代、幻灯は労働争議、反基地闘争、原水禁運動、セツルメント運動などの社会運動において、草の根の教育宣伝メディアとして盛んに活用された。
 本論文は、フィルム式幻灯の「運動性」に注目する。戦後日本の幻灯には、スクリーンに映写される静止画像に「運動」の印象をもたらすための工夫を試みたいくつかの作品が創作されており、幻灯機を手持ちで動かすことによっても、「運動」の印相をつくり出すことが可能だった。また、上映者やオーディエンスが上映会場で行う、合唱、手拍子足拍子、シュプレヒコールといったライブ・パフォーマンスによっても、スクリーン上の幻灯の映像に「運動」の印象を付加することができた。幻灯上映に際してのライブ・パフォーマンスに参加するオーディエンスは、自身の声や身体の運動によって、画面内のイメージを「動かす」感覚を体験すると共に、幻灯が記録もしくは表象する現実の社会運動に向かって「動かされる」感覚をともどもに体験しえていた。

  • タイトル(英語)
"Moved" and "Moving" Gentō: Gentō-kai (Gentō Screening) as a Place for "Movements."
  • 発表年
2014年
  • 著者
  • 掲載誌
アニメーション研究
  • 掲載誌巻号
16(1)
  • 掲載誌ページ
39-45
  • キーワード

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