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ゴラム問題:映画における共感とデジタルキャラクター

キャスリン・S・イーガンは「The soul factor: Deception in intimations of life in computer-generated characters(魂という要素:CGIキャラクターによって作り出された人間らしさに潜む嘘)」(2009)という論文内で、映画内のCGIキャラクターには魂がなく、人が共感することは不可能であると主張している。イーガンは、ピーター・ジャクソンによる『ロード・オブ・ザ・リング』の3部作(2001年〜2003年、ニュージーランド、アメリカ)に登場するゴラムの評価を行うことでその証明を試みた。このイーガンの主張に反して本稿で明らかになったのは、ゴラムに共感する人は多く存在するということである。イーガンによる調査は現象学的研究ではなく理論的研究であり、ゴラムのようなCGIキャラクターに共感する可能性はあると筆者は主張する。独特なキャラクターとの関係性についてはさらなる研究が必要であり、人間とデジタルな人工のキャラクター間の関係性のニュアンスを正確に伝えるためには「共感」などの用語よりも明確な言葉が必要である。さらに、観客とデジタルキャラクター間にある共感的関係を呼び起こすために「直接的な共感」という用語を提案する。

  • タイトル(英語)
The Gollum Problem: Empathy and Digital Characters in Cinema
  • 発表年
2019年
  • 著者
  • 掲載誌
Animation: An Interdisciplinary Journal
  • 掲載誌巻号
14(3)
  • 掲載誌ページ
207-221
  • 掲載誌ウェブページ
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1746847719881702
  • DOI
10.1177/1746847719881702

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