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デジタルの不合理性 :ジョーダン・ウルフソンの「邪悪なユダヤ人」

この論文では、現代のユダヤ系アメリカ人であるジョーダン・ウルフソンによる「Animation, Masks」(2011年)を分析する。このアニメーション映画は10分ほどの長さで、登場人物は一人である。これはウルフソンがグーグルでの「邪悪なユダヤ人」および「シャイロック」を検索した結果に基づいている。この「evil Jew」の定型の一つである「Le Happy Merchant」は、4chanメディア・ネットワークで回覧されている人気のあるミームで、「alt-right」と呼ばれる、2016年のドナルド・トランプの選挙運動および大統領就任の強力な支持層となった人種差別および反ユダヤ主義の緩やかなネットワークのマスコットとなった。ウルフソンは、この定型をアニメーション化する仕事のためにアメリカ人の動画制作者を雇い、自身のバージョンのメームを作成した。それが、予測不可能で支離滅裂、暴力的身振りと懐柔的な身振りの間を行ったり来たりする、魅力的なドリームワークスのキャラクターとして再上演されたファシストの定型である。詳細な分析を試みる代わりに、この論文では、定型、陰謀論、およびファシストの反乱に対するウルフソンの社会的結びつきを理解するには、ドナルド・トランプの選挙運動、英国のヨーロッパ連合からの離脱、そしてル・ペンの立候補の観点からより詳細な調査が必要であるということを議論する。これらの社会運動では、都市部の「エリート」または「グローバリスト」への積極的な批判が、移民、有色人種、イスラム教徒への言語攻撃に対する反体制の口実となった。アルベルト・トスカーノおよびジェフ・キンクルは「Cartographies of the Absolute」 (2015年) の中で、陰謀的思考の急増を資本主義に対する批判の不在と結び付けている。彼らは、資本主義の抽象的で客観的な特徴のため大衆の疑問が決して受け入れられないのであれば、陰謀論は安易な代用品であり、反ユダヤ主義および人種差別的な投影の余地が残されることになると論じている。そして、陰謀的思考に陥るのではなく、後期資本主義の理解不可能な動きへの組織的な結びつきを生み出す芸術および大衆文化を呼びかけている。この論文では、「Animation, Masks」のウルフソンがアニメーションと風刺画を使用して、国際的極右の台頭によって力を増してきた反ユダヤ主義陰謀および自己陶酔的なソーシャル・ネットワークの流布の事実を証言していることを示唆している。しかしながら、ウルフソンはあいまいに定型を取り扱っているため、反語的な取り扱いとは無関係である暴挙の力による共謀に陥るという危険を冒している。この論文では、この芸術作品の重要な貢献および限界、そして、ウルフソンの概念的パフォーマンス全体を評価する。

  • タイトル(英語)
Digital Unreason: Jordan Wolfson’s ‘Evil Jew’
  • 発表年
2017年
  • 著者
  • 掲載誌
Animation: An Interdisciplinary Journal
  • 掲載誌巻号
12(3)
  • 掲載誌ページ
318–333
  • 掲載誌ウェブページ
http://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1746847717729520
  • DOI
10.1177/1746847717729520
  • キーワード

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