人形アニメ映画とジェスチャーの美学
ジェスチャーとは生き物による意味のある行為である。全てのジェスチャーは身構えしていることを語り、この身構えによって私たちはジェスチャーという行為に縛られその中で生まれた文化を理解することさえできる。本論文では、人形アニメーションに見られるジェスチャーの美学を検討する。人形には豊かな質感や作り上げられた形状がある一方、限られたぎこちない演技しかできない。しかし、コンピュータで作成された滑らかな画像(CGI)や2Dアニメーションの図画とは異なる人形の限界こそが、演技の1つひとつのニュアンスをことのほか重要なものとし、キャラクターの動機を理解するヒントを与える。イジー・トルンカの「手」(1965)、川本喜八郎の「鬼」(1972)、スージー・テンプルトンの「犬」(2001)を含む三作の短編アニメが本論文でケーススタディとして選択されている。著者らは、ジェスチャーがどのようにポーズ、ショット、フレーミングを介して伝えられているかを詳しく説明し、そのうえでジェスチャーのカテゴリを作成し議論している。